今月の臨床 母体救急
母体救急―対応の実際
1.大量出血への対応 2)DICの治療
柳原 敏宏
1
1香川大学医学部周産期学婦人科学
pp.712-715
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101376
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DICの定義と病態
DIC〔disseminated intravascular coagulation : 汎発性(播種性)血管内凝固症候群〕は,さまざまな原因による血管内の汎発的な凝固による微小血栓形成とこれによる循環障害の結果,臓器障害(腎・肝・肺など)が発生する.さらに消費性凝固障害と二次的線溶亢進による出血傾向を発生させる疾患であり,重傷化すると多臓器不全(MOF : multiple organ failure)へと進展する.
産科DICでは,基礎疾患をもとにして母体血管内に胎盤・脱落膜・羊水・胎児などの組織トロンボプラスチンなどが混入されることによって,急激に凝固系や線溶系が活性化され,フィブリノゲンの消費による低下と出血が出現する.組織トロンボプラスチン流入によるDICは内科・外科疾患によるDICと比較して発症および進行が急激である.
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