今月の臨床 婦人科がん治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説
子宮体がん
1.ホルモン療法の限界は?
玉舎 輝彦
1
1岐阜大学医学部女性生殖器学
pp.1499-1503
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101345
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はじめに
子宮体癌におけるホルモン療法は3つの点より目指す目的となっている.すなわち,それは予防,治療,子宮温存のための補助療法からなる.
病因論においては,2つのタイプがある(図1)1).一般的には体癌はエストロゲンと関係するタイプIと関係しないタイプIIとに分けられる.タイプIはエストロゲン関係因子(エストロゲン持続刺激,PCO症候群,肥満)と関連し,若年女性に多く,増殖期子宮内膜より,続いて子宮内膜増殖症へと進展し,癌が発生すると考えられており,高分化型で,びまん性に発育し筋層浸潤が少なく,予後がよい.一方タイプIIは高齢女性に多く,エストロゲン刺激や子宮内膜症と関係がなく,遺伝子突然変異の蓄積により萎縮子宮内膜より発生し,限局性に発育し,低分化型で筋層浸潤が強く,予後が悪い2).タイプI,IIでも一度発癌すると子宮内膜由来であるから,ホルモン療法という観点からは,エストロゲン依存性に発育する面を抑制することが目標となる.
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