今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅
薬物療法
1.ホルモン療法
小池 浩司
1
1金沢大学大学院医学系研究科機能再生学講座分子移植学(産科婦人科学)
pp.57-61
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101644
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はじめに
子宮筋腫は婦人科領域の腫瘍において最も頻度の高い良性腫瘍で,性成熟期女性の20~25%に認められると報告されている.そのため,子宮筋腫は日常診療においてかなりの頻度で発見され,治療を要しないもの,対症療法やホルモン療法などの保存的療法が適応されるもの,外科的治療法が優先されるものなどと治療法はさまざまで,腫瘍の数や大きさ,局在部位,症状の強さや年齢あるいは挙児希望の有無などを考慮して個別的に治療法が選択されている.子宮筋腫は良性腫瘍で,大出血などの特別のケースを除けば生命を脅かすことはなく,多くの場合は無症状である.
子宮筋腫患者の20~40%が症状を訴え,何らかの治療を求めて医療機関を受診し,その主症状は過多月経と月経困難症である.一般的には保存的対症療法として過多月経による貧血には鉄剤の投与,月経痛には鎮痛剤の投与がなされる.保存的対症療法では対処できない場合,従来は外科的治療法が選択されてきたが,最近ではホルモン療法により一時的に子宮筋腫を縮小させ,症状の改善をはかることが可能となり,術前投与として用いられたり,一時的な手術回避策あるいは年齢を考慮して手術をせずに保存的に管理するために用いられたりと,子宮筋腫治療に関するホルモン療法の選択肢も広がった.今日最も汎用されているホルモン療法としてはGnRHアゴニストの持続投与である.
そこで本稿では,子宮筋腫に対するホルモン療法についてGnRHアゴニスト(GnRHa)を中心に述べ,また今後の治療として期待されるその他の薬剤にも若干触れたい.表1には子宮筋腫の治療に用いられるホルモン剤を示した.
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