今月の臨床 婦人科がん治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説
子宮頸がん
2.術前化学療法の適応は?
寒河江 悟
1
,
石岡 伸一
1
,
工藤 隆一
1
1札幌医科大学産婦人科
pp.1482-1487
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101342
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はじめに
子宮頸癌の基本治療は手術療法と放射線療法であるが,近年の医学の進歩にもかかわらず,ここ20年,特に進行癌における治療成績はあまり改善されていないのが現状である.こうしたなか,neoadjuvant chemotherapy(NAC),特に広汎子宮全摘出術を前提とした術前NACが子宮頸癌の予後改善に期待される治療法のひとつとして注目されている.NACの長所として,手術や放射線療法による腫瘍への血流低下がないため,局所への高い薬剤到達性が得られること,感受性があればsurgical marginでの癌細胞残存率を低下させ,手術の完遂度を向上させ得ること,そのほかにリンパ節転移や微小転移巣への効果も期待できることなどが挙げられる.一方短所としては,感受性がない場合,主治療の効果が減弱し,副作用の出現などにより主治療の遅延,不完遂を招く危険性もあることが挙げられる.本稿では,こうした子宮頸癌に対するNACの現状と将来の展望につき文献的なエビデンスを参考にしつつ考察を行っていく.
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