連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・15
創部膿瘍と思われた子宮頸癌皮下転移の1例
福田 香織
1
,
武木田 茂樹
1
,
山口 聡
1
,
埴岡 啓介
2
,
西村 隆一郎
1
1兵庫県立成人病センター婦人科
2兵庫県立成人病センター病理部
pp.1397-1401
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101314
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症例
患者は34歳の主婦(2回経妊・2回経産)である.約半年間の不正性器出血を主訴として,近医を受診し子宮頸癌の診断にて当院を紹介された.MRI所見では頸部に52×48mmの腫瘤が認められ,傍結合織への浸潤が認められたが,明らかなリンパ節腫大や遠隔転移巣は確認されなかった.血中腫瘍マーカーはSCC<0.5ng/ml,CEA 0.8ng/ml,CA19─9 11.1U/mlと正常範囲内であったが,CA125値のみが63.9U/mlと軽度上昇していた.
子宮頸部扁平上皮癌(非角化型)IIb期の診断のもと,DJ療法(ドセタキセル80mg+カルボプラチン800mg)1コースによる術前化学療法(NAC)を施行した.NACにより局所病巣は36×32mmへと縮小し,CA125値も9.4U/mlと正常化し,広汎性子宮全摘術ならびに骨盤内リンパ郭清術を施行した.摘出した腫瘍サイズは38×27×10mmで,術後病理診断では深達度7mm,リンパ管侵襲(+),血管侵襲(-)であった.患者の意思により術後追加療法を行わず,外来フォローとなった
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