連載 産婦人科エコー 何を考えるか?・10
肝内の石灰化像
竹内 久彌
1
1愛和病院画像診断部
pp.1337-1339
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101303
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妊娠22週の妊娠中期超音波スクリーニングで胎児腹部に高輝度の塊状像が描出されたとして精検を求められた症例である.
ここには,そのとき高輝度塊状像を通過するようにして得られた胎児上腹部の横断像(左側)と矢状断像(右側)の2画面表示を示した.径7~8mmのほぼ球形の高輝度塊状像(矢印)が肝実質内のほぼ中央に描出されていることがわかる.このような高輝度塊状像は,骨以外ではいわゆる石灰化(calcification)が組織内に起こったものとして差し支えない.石灰化の超音波像には音響陰影(acoustic shadow)の発生が認められるが,本例でも弱いながら認められる.なお,最近の装置では音響陰影が素直に表現され難くなっていることに注意せねばならない.結局,本例は「胎児肝実質内にみられる高輝度点状像(punctate echogenic foci)」と定義される肝内石灰化(intrahepatic calcification)が描出されたものといえる.なお,胎児形態にほかの異常はまったくみられなかった.
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