症例
帝王切開後菲薄化した子宮切開創部に囊胞を形成し膿瘍化した2例
片平 敦子
1
,
鵜沢 芳江
2
,
高屋敷 利奈
3
,
櫻田 尚子
4
,
藤本 久美子
1
,
舩山 由有子
1
,
高津 政臣
1
1宮城厚生協会坂総合病院産婦人科
2湘南鎌倉総合病院産婦人科
3藤田保健衛生大学病院産婦人科
4東北大学病院産婦人科
pp.823-827
発行日 2014年8月10日
Published Date 2014/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要約
帝王切開(以後CS)術後の子宮筋層の創部菲薄化は月経困難や不正出血の原因となり問題視されている.今回われわれはCS後の菲薄した子宮瘢痕部位から外向性に囊胞を形成し,膿瘍をきたした症例を2例経験したので報告する.【症例(1)】36歳3経産(CS 3回).術後6年目に,発熱,下腹痛を主訴に受診.子宮体下部左に16 cm大の多房性囊胞を認め,菲薄化したCS創部から発育した囊胞内の膿瘍であった.【症例(2)】43歳1経産(CS 1回).術後9年目に下腹痛と弛張熱を主訴に受診.子宮体下部左に10 cm大の多房性囊胞を認め,CS創部から発生した膿瘍であった【考察】上記2例はCS時の子宮筋層縫合時に子宮頸管腺が巻き込まれ,また筋層が欠損し菲薄化した部分に慢性的な炎症が起こり囊胞が形成されたと推察された.CSの術式で,切開の位置,縫合の仕方を再考させられた症例であった.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.