研究ノート
症例対照研究の手法による子宮がん検診の有効性の評価
祖父江 友孝
1
,
鈴木 隆一郎
1
,
橋本 澄代
2
,
横井 信子
3
,
藤本 伊三郎
1
SOBUE・Tomotaka
1
,
SUZUKI・Takaichiro
1
,
Sumiyo HASHIMOTO
2
,
Nobuko YOKOI
3
,
FUJIMOTO・Isaburo
1
1大阪府立成人病センター調査部
2大阪府能勢町保健衛生課
3大阪府池田保健所能勢支所
pp.64-66
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900017
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●子宮がん検診の有効性の評価
がん検診の有効性は,一般的には,受診者における死亡率減少によってのみ確認できる.したがって,「子宮がん検診が有効である」ことを示すには,「子宮がん検診受診者における子宮がん死亡率が非受診者に比べて低い」ことを示さねばならない.ただし,子宮がん検診においては,検診により非常に早期のがん(上皮内癌)が発見可能であり,かつ,これを切除することにより浸潤がんへの進展,さらには子宮がん死亡を予防しうることがすでに立証されている.したがって,子宮がんの場合は,その有効性を浸潤がん罹患率の減少という観点からも観察できる.すなわち,「子宮がん検診受診者における子宮の浸潤がん罹患率が,非受診者に比べて減少する」ことを示すことによっても,子宮がん検診の有効性を示すことが可能である.
こうした死亡率,罹患率の減少を最も客観的に示しうるのは,無作為対照比較試験(randomized controlled trial)である.すなわち,一定集団を無作為に検診群と対照群とに分けて,両群における死亡率,または罹患率を比較する方法である.
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