今月の臨床 婦人科がん検診
婦人科がん検診の現状と将来展望
蔵本 博行
1,2
,
新井 努
1,2
,
川口 美和
1,2
,
藤澤 武志
1
,
鎌田 裕子
1
,
西村 由香里
1
1北里大学医療系研究科臨床細胞学
2北里大学病院産婦人科
pp.16-20
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101093
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はじめに
婦人科領域の悪性腫瘍の中で,子宮体癌と卵巣癌が急速に増加しており,これまで癌といえば子宮頸癌であったのに比べて大きく変化してきている.
これらのうち子宮体癌は,例えば北里大学病院での経験では,全婦人科癌の20%,全子宮癌の40%を越えるレベルにまでになっている.体癌患者を年齢別に見ると,増加しているのは40歳代の比較的若年者である.これまで50歳以上の年齢層にほとんど集中していたのに比べて,体癌患者の40%を若年体癌患者が占めるまでに増加していた.
卵巣癌も子宮体癌と同様に増加している癌であって,その死亡率は婦人科癌の中で最も高い.そのため,早期発見・早期治療による死亡率の低減が期待されている.
一般にがん検診が有効である癌は,長い前臨床期間を有しているものである.また,前癌病変も含めて癌の自然史が明らかにされているものに限られる.婦人科の3大癌の中では,子宮頸癌で最もその自然史が明らかにされており,子宮体癌も最近明らかになってきている.しかし卵巣癌に関しては不明なことが多い.そのため子宮頸癌と体癌は検診が有効である癌,卵巣癌は未だ有効でない癌とされている.
本稿では,まず本邦における死亡の動向について検討を加える.次いで,子宮頸癌と体癌に対する検診の実績について,前者は神奈川県での車集検,後者では日本産婦人科医会の各都道府県支部に対して行った全国集計の結果を通して述べることとしたい.
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