今月の臨床 婦人科がん検診
婦人科がんの最近の動向
植木 實
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.10-15
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101092
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はじめに
日本では昭和の初期(1924年頃)までは人生50年と言われていた.戦後の昭和25年(1949年)に女性の平均寿命が60歳を越してニュースになり,昭和60年(1984年)には80歳に,現在では84歳に到達し,世界の長寿記録をぬり変えつつある.計算上では女性の寿命は戦後2年に1歳延びてきたことになろう.
この理由には栄養とか環境などいろいろな要因が挙げられるが,やはり大きな原因は人間に死を招く病気,すなわち死亡疾患の変化にある.昭和初期は亡国病と言われた結核が最多で,昭和25年(1949年)には脳溢血などの脳血管疾患に代わった.その後昭和56年(1981年)にはがんがトップになり,以来がんは死亡原因(95万人/年・1999年)として増加し,他の疾患に大きく差をつけつつある1).
したがって現在の医療はがんの早期発見への努力,進行したがんや再発がんに対する治療対策に大きな比重が置かれている.1983年,政府は「対がん10ヵ年総合戦略」,1992年には「がん克服新10ヵ年戦略」を策定し,各施設で本格的な研究が行われている.
このような観点から,最近の悪性腫瘍の動向について述べてみたい.
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