今月の臨床 妊娠と薬物―EBM時代に対応した必須知識
総論
3.妊娠と薬相談外来―現状と問題点
林 昌洋
1
1虎の門病院薬剤部
pp.663-667
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100922
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はじめに
1960年代のサリドマイド事件が教訓となって医療従事者はもとより一般の妊婦にも薬物の催奇形性に対する認識が浸透し,むしろ過剰な不安を抱く傾向がある.
このため妊娠中の薬物療法では,母体への有効性と母体および胎児への安全性の観点から薬物を選択したうえで,妊婦自身が薬物の必要性と安全性を理解できるよう説明し,積極的に治療に参加できるよう指導する必要がある.
当院では,妊婦の服薬に対する不安を解消する目的で,産婦人科と薬剤部が共同で「妊娠と薬相談外来」を開設し,催奇形情報の提供やカウンセリングを行っている.
開設当初5年間は約300例程度であった年間相談者が,ここ10年間は約500例で推移しており,2003年3月末の累計で6,769例を数えている.この間に催奇形性を調査した薬物,化合物は3,470品目にのぼっている.
本稿では,この外来における薬物の催奇形性評価,妊婦カウンセリングの現状と問題点について解説する.
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