連載 OBSTETRIC NEWS
臍帯巻絡と新生児転機
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.1104-1105
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100868
- 有料閲覧
- 文献概要
産科日常診療における超音波診断が普及し,ときには過剰と思われる利用方法や妊婦や家族の過大な期待(「胎児の体重は正確に診断できる」,「胎児奇形はすべて診断できる」,「胎児奇形は分娩前に必ず診断すべき」,「胎盤早期剥離は超音波で全例診断できる」など)による医師のストレスが増大する.きわめて一般的にみられる臍帯巻絡を妊婦にどのように説明すればよいのか.最近の米国周産期医学会の報告を紹介する.
1. Gillesonら(セイントエリザベス医学センター[ボストン])(AJOG 184 : S104, 2001)
単胎妊娠,頭位,分娩時期≧妊娠27週,奇形を除く1,683例を研究対象とし,新生児転機が検討された.経腟自然分娩71%,吸引分娩8%,帝王切開21%であった.臍帯巻絡なし1,203例(71.5%),1回421例(25.0%),2回48例(2.9%),3回10例(0.6%),4回1例(0.06%)であった.臍帯巻絡がある例では,アプガースコア1分値が7点未満が有意に増加することが示唆された(表1).臍帯巻絡回数が3回以上の例は胎便による羊水汚染は6.7倍(95%信頼間隔2.02~22.3)だったが,高度罹患はなかった.したがって,臍帯巻絡1回は新生児転機不良と無関係であり,臍帯巻絡回数が増加するとアプガースコア低値(@1分)と胎便排出が増加するが,新生児集中治療室(NICU)収容との関連はない.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.