連載 OBSTETRIC NEWS
葉酸と神経管欠損―カナダの場合
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.1213
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100843
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妊娠初期に,妊婦に葉酸を与えることにより,神経管欠損(neural tube defects)という奇形を減少させることができることは,よく知られている.その減少率は50%以上である.しかしそのためには,妊娠のごく初期のタイミングで,錠剤により毎日葉酸を服用することが必要である.神経管の閉鎖は妊娠のきわめて初期に起こるため,神経管欠損を有効に予防するには妊娠を希望する女性が葉酸を妊娠以前から使用することが重要であるが,すべての妊婦がそうしているわけではない.カナダのほとんどすべての(コーンフレイクスにより代表される)シリアル製品には,今では葉酸が加えられており,その結果,シリアルを習慣的に食用することが一般的なカナダでは,1日量0.1~0.2 mgの葉酸を摂取することになる.シリアルへの葉酸の添加(fortification)は1998年の1月より開始され,人口のほとんどが1日量0.2 mgの葉酸を摂取している.
カナダの著者らは,オンタリオ州での葉酸添加開始以前の1994年1月から1997年12月までの妊娠218,977例と添加開始後の1998年1月から2000年5月までの妊娠117,986例を対象に開放型神経管欠損(open neural tube defects)の発生を調べてみた.開放型神経管欠損は,無脳症(anencephaly)と脊椎披裂(spina bifida)に分けた.その結果は図に示すごとくである.
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