今月の臨床 婦人科がんを見逃さないために
婦人科がん早期診断の要点・問題点
7. 外陰・腟癌
丸山 章子
1
,
平川 俊夫
2
1九州大学医学部産婦人科
2真田産婦人科麻酔科クリニック
pp.1097-1099
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100773
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はじめに
外陰に発生する悪性腫瘍は本邦では稀であり,婦人生殖器癌のうち外陰癌の占める割合は3~5%であると報告されている1,2).外陰癌の発生年齢はほかの婦人科悪性腫瘍と比較して高いのが特徴であり,その発生率は加齢とともに上昇するとされている.また,実際の日常臨床において,年齢を問わず外陰部の症状を訴える患者を診察する機会も多く,外陰の腫瘍性病変を見逃さないことが大切である.外陰の腫瘍性病変の頻度は前述したように高くはないものの,前癌病変を含めて臨床的,病理学的にも重要な疾患が少なくない.腫瘍性病変の診断は組織学的診断によるが,生検を行うか否かの判断に当たっては肉眼的所見の理解がきわめて重要である.そこで本稿では,特に肉眼的所見に焦点を当てるために,外陰部病変をその主たる色調から白色,赤色,および黒色病変と3つに分け,各々においてのがんの早期診断の要点を述べる.
一方,腟に原発する悪性腫瘍とその関連病変は,外陰に比してその発生頻度はさらに低いとされるが,近年HPV感染との関連の重要性が指摘されており,子宮頸部上皮内病変を伴ってみつかることもある.腟扁平上皮癌の予後は,臨床進行期,すなわち初診時の腫瘍の広がりに最も相関性が高いといわれており,これを見逃さないことが重要である.これについても要点を述べる.
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