今月の臨床 ここが知りたい─婦人科がん化学療法
卵巣がん
4.胚細胞腫瘍の化学療法は
東 政弘
1
,
宮城 源
1
,
佐久本 哲郎
1
1豊見城中央病院産婦人科
pp.1263-1267
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100647
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はじめに
卵巣悪性胚細胞腫瘍の治療法はこの20数年間に驚くべき変貌を遂げた.それは癌化学療法の目覚ましい進歩によるものであり,治療成績は飛躍的に向上した1~3).そして,若年者に好発する本腫瘍は大多数が一側性であること,転移巣があっても化学療法により治癒が期待できることから,進行期にかかわらず保存手術を行うべきであると認識されるようになった4~6).この治療方針は世界的なコンセンサスとなっており2000年のFIGOのガイドラインにも謳われている7).
われわれは1985年からこの方針を前方視的に検討しており8, 9),これまでにIII期,IV期の進行例を含む連続26例に保存手術を行った.このなかで,未分化胚細胞腫Ia期を除く24例に化学療法を行った.そのレジメンは1995年まではPVB療法(cisplatin, vinblastine, bleomycin)を主に用いたが,1996年以降はBEP療法(bleomycin, etoposide, cisplatin : 表1)に変更した.難治性再発例の1例はVeIP療法(vinblastine, ifosfamide, cisplatin)で治療した.現在26例の平均観察期間は10年1か月で,100%の無病生存率であり,治療後の妊娠分娩例も経験している8, 10).われわれの治療成績が良好であるのは投与量と投与スケジュールが正確に守られたことによると考察している.本稿では,標準的治療であるBEP療法の要点と今後の課題について概説する.
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