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植物中に含まれるエストロゲン作用を持つ物質はphytoestorgenと総称されるが,それらはエストロゲン受容体に結合し,何らかのエストロゲン効果を有する.ファイトエストロゲンにはイソフラヴォン,リグナン,クメスタンの3物質に大別される.イソフラヴォンにはゲニステイン,ダイゼイン,グリシテインなどが含まれ,そのエストロゲン作用は証明済みである.アジア諸国では大豆製品が多く食用に供され,そのために「のぼせ」などの更年期症状の発生が少ないとの報告がある.日本からの一論文では(個人における)大豆製品の消費量と「のぼせ」の頻度が有意な逆比例の関係にあることを報告している1).また,もう1つの日本からの研究は日本女性のイソフラヴォン摂取量を示しているが,それによれば対象を摂取量の順に三分画すると,イソフラヴォン摂取量はそれぞれ20.5 mg,32.8 mg,50.8 mg/dであった2).ここで検討した論文におけるイソフラヴォンの1日摂取量は34~160 mgなので,その摂取量は大豆製品の摂取が多い国々における摂取量に匹敵し,それゆえ臨床的にも意味のある量であると考えられる.
ミネソタ大学の研究者らは1966~2004年に発表された論文をMEDLINEより集めレビューをしてみた.目的は,これら植物性エストロゲンはのぼせなどの更年期症状を軽減させるかどうか,という疑問に答えることにあった.検討対象となった論文はすべてランダムコントロール試験に限定した.これらの試験は植物性エストロゲンとプラセボコントロールによる効果を比較検討したものである.検討の対象となった植物性エストロゲンは大豆製品(食品,飲み物,食品),大豆抽出製品,レッドクローバー抽出製品などである.
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