連載 OBSTETRIC NEWS
胎便による羊水汚染 : 喉頭展開および気管内吸引は必ず必要か?
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.1041-1043
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100379
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胎便吸引症候群(MAS)は,分娩前,分娩中および分娩直後に発生し得る.胎便による羊水汚染(MSAF)発生頻度の中央値は分娩の14%(6~25%)で,MASはMSAFのある分娩では11%(2~36%)(Pediatr Clin North Am 45 : 511, 1998)で,特に過期妊娠と子宮内胎児発育制限(IUGR)児での発生頻度がより高い(Obstet Gynecol 94 : 758, 1999).
MAS発生頻度が産科医療の変化で減少するという報告がある.ウィルフォードホール医学センターでは5.8%(1990~1992年)から1.5%(1997~1998年)に減少した.減少は妊娠41週以降の分娩の著しい減少,人工羊水注入法,nonreassuringな胎児心拍数パターンの診断,帝王切開と関連があった(Obstet Gynecol 99 : 731, 2002).MSAFがある場合の出産児の4~9%にみられる呼吸障害のそのほかの理由は,一時的多呼吸(60%),胎児循環遺残(18%),敗血症または肺炎,一時的肺高血圧(3%),そのほか(肺浮腫,気胸,循環血液量減少,血液吸引)(8%)である(Pediatr 105 : 1, 2000).
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