特別寄稿
胎便による羊水混濁の程度を分類することには意義があるのか
マリー・ルイズ・ファン・ハイスト
,
マルク・J. N. C.・カイルス
1
,
ゴーデリーブ・ファン・ロースマーレン
2
,
小出 久美
1ライデン大学医学部産科学
2ライデン大学医学部
pp.507-511
発行日 1999年6月25日
Published Date 1999/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902190
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はじめに
胎便による羊水混濁は異常のサインであり,特に分娩開始以前に発見された場合には,切迫したケースと見なされる。オランダでは,分娩件数の約半数が助産婦のケアを受け,1/3が自宅分娩である。羊水混濁は長い間,分娩取り扱いを産科医の手に委ねる判断の指標とされてきた1,2)。近年では,自宅分娩を施設内分娩へと切り替える指標ともなっている。
この指標の取り扱いは,しかしながら,実際にはいささか正確さに欠けるようである。とはいえ,羊水混濁の発生頻度の高さと分娩に与える影響の少なさを考えると,それは驚くにはあたらない。文献によれば,生産のうち12〜20%3〜7)に羊水混濁が報告されている。妊娠中必要な診察・ケアを十分に受け,全期間を通していかなる問題も発見されなかった妊婦に発生する羊水混濁は,10%以上にのぼると報告されている8)。胎便がリスクの増大を招くことは疑いないが7,9),胎児の低酸素症や新生児仮死の発見・予測のための意義は限られている10〜13)。羊水混濁のみられるケースすべてに深刻な問題が生じるわけではないし,いくつかの研究によれば,羊水過多に伴うリスクの増大のほうが軽度の羊水混濁に比べてより深刻であるという9,14,15)。
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