連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・2
子宮内感染を伴った子宮内腫瘤の1例
高橋 晃
1
,
高田 治奈
1
1倉敷中央病院産婦人科
pp.1033-1035
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100377
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症 例
患 者 : 40歳代前半
主 訴 : 多量の性器出血および38℃の発熱
既往歴 : 変形性股関節症
家族歴 : 特記すべきことなし.
月経歴 : 最終月経様出血 ; 5月上旬(約1か月前)から,周期 ; 不整
妊娠歴 : 4回経妊・3回正常経腟分娩(明らかな前回妊娠は6年前の流産)
現病歴 : 6月上旬より月経様の出血を認めいったん減少後,出血が増加し多量となったため救急外来を受診した.また前日より38℃の発熱がある.
初診時所見 : 意識は清明であるが顔面は蒼白,体温は38.5℃であった.子宮腔より中等量から多量の暗赤色の出血が持続していた.内診所見では,子宮は鷲卵大で両側付属器は触知せず,腹部に圧痛は認めなかった.超音波検査で子宮内腔に24 mm大のiso echoic lesionを認めた(図1).
検査所見 : Hb 4.7 g/dl,Hct 12.5%と著明な貧血を認めた.また,WBC 14,000/ml,CRP 3.9 mg/dlと炎症の存在を示唆していた.内膜細胞診はclass Ⅱであった.腟分泌からは黄色ブドウ球菌が検出され,血液培養検査でも同じ菌が同定され敗血症の状態となっていた.腫瘍マーカーはCA125 26 U/ml(<35),CEA 0.9 ng/ml(<3.5),CA19─9 5.1 U/ml(<30)で正常範囲内であった.
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