今月の臨床 安全な腹腔鏡下手術をめざして
腹腔鏡下手術患者の周術期管理の要点
久布白 兼行
1
,
木挽 貢慈
2
,
鈴木 直
1
,
福地 剛
1
,
藤井 多久磨
1
,
野澤 志朗
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
2川崎市立川崎病院産婦人科
pp.263-267
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100189
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はじめに
近年,腹腔鏡下手術は広く行われているが,その一方で手術に伴う合併症がトラブルにつながる事例が報告されている.日本内視鏡外科学会の2004年アンケート1)によれば,子宮・付属器疾患に対する腹腔鏡下手術は,全国で1990年には1,482件であったものが2003年には10,374件と顕著に増加しており,一方この間,82,973実施症例中に術中偶発症と術後合併症はそれぞれ657例,(0.8%),755例(0.9%)に認められている.
腹腔鏡下手術の周術期管理は,術前処置,インフォームド・コンセントに始まり,術中・術後においては合併症に留意することが必要である.そして腹腔鏡下手術に特有な偶発症・合併症の存在を認識しその予防法や対処法に習熟することは,トラブルを予防するためにも重要である.これらの偶発症・合併症は,迅速な状況判断と対応が問われるものがほとんどであり,特に術中に発生する偶発症は,早期予見,早期対処を絶えず心掛けることにより,状態の悪化を最小限にとどめることができるものが多い.そこで本稿では,腹腔鏡下手術の周術期管理について術前の準備,術中・術後の合併症の予防,予見,早期対処法などに留意した管理の要点を中心に述べる.
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