今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
VII 乳腺外来
3. 乳腺外科医へ紹介するポイント
谷内 麻子
1
,
石塚 文平
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.617-621
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100108
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1 はじめに
乳房の癌検診を希望して,あるいは乳房の腫瘤触知,疼痛,乳汁分泌などを主訴として女性診療科を受診する患者は少なくない.女性に多い代表的乳腺疾患として,乳腺症,線維腺腫,乳癌が挙げられる.好発年齢は線維腺腫が20~40歳代,乳腺症は30~50歳代と比較的若年である.乳癌は40~50歳に発症のピークがあり,わが国においてその罹患率,死亡率ともに近年増加傾向にある.2004年3月,厚生労働省のがん検診に関する検討会は,老人保健事業に基づく乳がん検診の見直しを行い,マンモグラフィによる検診を原則とし,検診対象年齢は40歳以上,検診間隔は2年に一度と改訂した.
このような社会的な動きのなかで,外来診療に当たる医師としては,乳房に関する何らかの主訴を持って外来受診する患者のなかから,乳癌の早期発見・早期治療に努めなくてはならない.マンモグラフィの有用性は誰しもが認めるところであるが,外来には何らかの症状を訴えて来院する患者が多いため,初診時には問診および乳房の視診・触診によるスクリーニングが基本となる.Cochraneら1)は,専門医に紹介すべき所見として表1のような基準を提唱している.診療に当たっては,乳癌との鑑別を常に念頭に置き,必要があれば速やかに乳腺外科に紹介し,生検などの精密検査による診断,およびその後の加療を依頼することが重要である.
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