今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
IV 不妊・避妊・不育症外来
1. 不妊症の検査
田村 博史
1
,
杉野 法広
1
1山口大学医学部生殖・発達・感染医科学講座(産科婦人科)
pp.483-487
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100087
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1 はじめに
不妊症の原因は多岐にわたり,必ずしも単一の原因とは限らず,複数の原因を有する場合も多い(表1).大きく捉えると,卵胞発育や排卵があるか,卵管の通過性はどうか,子宮の形態異常はないか,ホルモン異常はないか,精子に異常はないかということになる.不妊原因を特定し治療法を決定するために検査を行うが,最低限の必須項目として1次検査(スクリーニング検査)を実施し,異常がみつかった場合に必要に応じて2次検査を実施する(表2).また,各不妊症検査は,月経周期のなかで適切な時期に施行する必要がある.月経中の卵胞期初期には基礎ホルモン値の測定,LH─RH負荷試験,TRH負荷試験が,月経終了後の卵胞期中期にはHSGや通水・通気検査が,排卵周辺期には超音波検査,血中ホルモン値(エストラジオール,LHなど)測定,頸管粘液検査,性交後試験(フーナーテスト)が,黄体期初期には超音波検査による排卵確認が,黄体期中期には血中プロゲステロン値測定,子宮内膜日付診がある(図1).
本稿では,不妊症検査の中心的役割を有する超音波検査法および不妊原因因子別に必要な検査項目を挙げ,その概要を示す.
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