連載 婦人科超音波診断アップグレード・21
子宮筋腫の超音波所見
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
pp.303-319
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100056
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1はじめに
子宮筋腫は子宮の筋組織から発生する良性腫瘍であり,実質は筋線維,間質は結合組織からなる平滑筋腫で,発生原因は不明であるが,発育にはエストロゲンが関与していると考えられている1).発生部位としては,およそ体部が90~95%,頸部が5~10%2)で,筋層内は60~70%,漿膜下は20~30%,粘膜下は10~15%3),筋腫分娩は手術を要する例の4.3 4)~6.2%5)との報告がある.外来患者中の5~10%3)を占めるとされ,最も頻度の高い婦人科領域の良性腫瘍である.
月経困難,過多・過長月経とそれに起因する貧血などの主要症状のほかに,感染,水腎症,尿閉,有茎筋腫の場合の茎捻転,表層血管の断裂による腹腔内出血,変性筋腫の破裂,イレウス,子宮内反症,pseudo─Meigs症候群,臍ヘルニア,下腿潰瘍,血性心嚢水貯留,多血症,深部静脈血栓症,Plummer─Vinson症候群(鉄欠乏性貧血,嚥下困難,口角炎,スプーン状爪の合併),不妊,妊娠関連では流・早産,感染・腹痛,分娩障害などが起こり得る.また,子宮腺筋症,内膜ポリープ,卵巣腫瘍,子宮肉腫,ときには子宮体癌などとの鑑別が問題となることもあり,さらに播種性腹膜筋腫症や良性転移性筋腫などの発育態度が肉腫に類似する場合や悪性度不明の場合もあり,臨床的にきわめて重要な問題を含んでいる.
表1に1994年に発表されたWHOの子宮平滑筋腫瘍の分類6, 7)を挙げ,表2に発生部位別にみた鑑別診断(ただし妊娠関連疾患を除く)8)を挙げた.
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