連載 婦人科超音波診断アップグレード・23
卵巣出血の超音波所見
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2,3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
pp.1221-1235
発行日 2006年9月10日
Published Date 2006/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101284
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はじめに
日本産科婦人科学会の用語集・用語解説集(2003年)1)によれば,卵巣出血は卵巣からの出血が腹腔内に貯留し,下腹痛を主とした症状を呈する疾患で,卵胞出血と黄体出血に分類される.その成因からみて,卵巣への機械的損傷(過度の外力)によって引き起こされる外因性出血,卵巣の出血性素因に起因する内因性出血,明らかな原因の見いだせない特発性卵巣出血に分類する考え方もある2, 3).女性のほかの下腹痛を示す疾患との鑑別が必要であり,主な鑑別疾患としては子宮外妊娠,卵巣腫瘍茎捻転,骨盤内炎症性疾患(以下,PID),急性虫垂炎,尿管結石などが挙げられる.女性の腹痛の鑑別疾患の1つとして重要で,必ず念頭に置かなければならない疾患である.
通常,卵巣出血の診断については,臨床症状と検査所見,超音波所見によってなされるが,必ずしも容易でない場合もある.卵巣出血の超音波所見についての詳細な報告は意外に多くない.そこで,今回は卵巣出血の診断に有用と思われる超音波所見について検討してみたい.
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