今月の臨床 子宮内膜症治療の最前線―症状に応じた治療戦略
【「チョコレート嚢胞の悪性化」への対応】
1.チョコレート嚢胞の悪性化とそのリスク評価
島田 宗昭
1
,
寺川 直樹
1,2
1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
2日本生命済生会附属日生病院
pp.1450-1453
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101902
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はじめに
生殖年齢女性の約10%に発生する子宮内膜症は月経痛や不妊の原因となり,女性のquality of lifeを著しく損なう疾患である.また,本症は良性疾患でありながら,高い増殖能や浸潤能を有し類腫瘍性格を示すことが知られている.
疫学および臨床病理学的観点から,子宮内膜症と明細胞腺癌や類内膜腺癌などの上皮性卵巣癌との深い関連が指摘されている.しかしながら,子宮内膜症の悪性化に関する詳細な分子メカニズムはいまだ明らかでなく,悪性化を念頭に置いた子宮内膜症の管理については,一定の見解が得られていない.
本稿では,子宮内膜症の悪性化に関して,疫学,臨床病理学および分子生物学的研究成果と子宮内膜症悪性化に関するリスク因子について概説する.
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