今月の臨床 ART 2006
ART成功率向上のための要点
胚の評価法
齊藤 英和
1
,
中川 浩次
1
,
高橋 祐司
1
1国立成育医療センター周産期診療部・不妊診療科
pp.62-65
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100012
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はじめに
胚の質はその後の妊娠の有無に影響を及ぼす重要な因子であり,胚の質を評価することは,臨床においてはとても重要な検査となる.さらに胚の質の評価は,採卵以前の卵巣内での卵胞の発育の状態の影響を受けるとともに,採卵後の卵・胚の培養環境や精子の質の影響も受ける.それゆえ,これらの因子の総合結果としての指標となる.よって,胚の質を検討することは,卵の発育環境を評価し,さらに最適排卵誘発法の選択や最適培養法の選択,精子の評価にも寄与することになる.
また,最近,体外受精などの技術の向上に伴い,多胎妊娠が高率に認められるようになった.多胎妊娠を防ぐためには,良質の胚を1個胚移植することである.臨床的には,妊娠率を低下させずに多胎妊娠を減らすことが重要であり,このために,妊娠する能力のある胚を評価・選択し,胚移植することが重要となる.臨床的に応用できる胚の評価法には,胚の形態評価,胚発育速度からみた評価,胚を培養した培養液中の物質の消費量や,胚から生産され培養液中に分泌される物質量の評価などがある.
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