今月の臨床 ART 2006
ART成功率向上のための要点
胚の凍結保存法
宇津宮 隆史
1
1セント・ルカ産婦人科、セント・ルカ生殖医療研究所
pp.71-77
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100014
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はじめに
体外受精・胚移植(IVF─ET)の進展に伴って,未移植胚の凍結保存は不妊診療においてすでに重要な位置を占めている.また,日本産婦人科学会のガイドラインでは,生殖補助医療(ART)を行う施設は胚の凍結ができなければならないとしている.ここで凍結操作による胚への影響が気になるが,われわれの研究ではその染色体に与える影響はほとんどないことが判明している1).さらに凍結後の妊娠率は表1に示すように通常のIVF─ETに比較して遜色はない.
最近では,凍結方法は従来のプログラム・フリーザーを用いたslow freezing法から,より簡便なvitrification法が行われ,妊娠例も報告されるようになってきた2~5).Vitrification法では,胚の各stageでの凍結・保存が可能であり,またそれに要する時間も15分程度で終了する.しかし,slow freezingに比較し高濃度の耐凍剤を要し,氷晶成長域を短時間に通過するべく急速に凍結する必要がある.
本稿では,すでに行われているslow freezing法と今後広く行われるであろうvitrification法について述べ,その応用方法についても言及したい.
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