今月の臨床 ART 2006
ART成功率向上のための要点
卵胞発育調節法の工夫
京野 廣一
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1医療法人社団レディースクリニック京野 京野リプロダクションリサーチセンター
pp.41-43
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100007
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はじめに
生殖補助医療(ART)において妊娠・出産成功の秘訣はいかにして良質の卵子を獲得するかにかかっている.そのためには患者の卵巣予備能力を把握し,それに最も適した安全かつ負担の少ない卵巣刺激法を選択・実施することである.現在,卵巣予備能力が正常な場合はGnRH agonist─long法が選択される.この場合,ゴナドトロピン(Gn)投与前に卵胞径が均一になり,良好卵子が得られ,最も良好な妊娠率が期待できる.しかし,GnRH agonist─short法やGnRH antagonist法ではGn投与時,投与後も卵胞径が不揃いで,採卵のタイミング決定に迷いが生じることもあり,前方視的検討では妊娠率もGnRH agonist─long法に比較しやや劣る.この欠点を補うべく,Gn投与前に種々の方法で前処置(pretreatment)し,卵胞の均一化をはかることが求められる.また,最近の報告では卵巣刺激の卵胞後期にLHを添加した場合に卵胞成熟促進,アポトーシス誘導・卵胞数のコントロール効果がみられ,特に35歳以上の症例では妊娠率向上と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)低下が期待できる.
本稿では,当院で前方視的検討を行った成績と文献的考察を加えて,ART成功率向上のための卵胞発育調節法の工夫について述べてみたい.
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