巻頭言
1969年をおもう
佐藤 孝三
1
1第42回日本整形外科学会
pp.1
発行日 1969年1月25日
Published Date 1969/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908462
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本号で年があらたまつたことになつているが,この文を実際に書いているのは1968年11月末である.今年は学問の府といわれた大学が大きく揺れて,各地にいわゆる学園紛争がおこり,それが未だに終結にいたらず,とくに派手な騒ぎを見せている東大や日大の紛争がこれからどうなつてゆくのか,目下余断を許さない時点である.
学生問題は世界を通じての問題であるが,大学の在り方への反省は,各国各大学によつてそれぞれ内容が違つて然るべきであろう.それが今は共通して急速に革命的イデオロギー的闘争に進展しつつあるようにみえる.大学への暴力の介入や政治の介入はまことに困つたものである.これに対抗する力を本質的にもつていない大学は,目前の事態に眩惑されて,右往左往している観がないでもない.大学が本来の学問の府としての姿をとり戻すまでには,まだまだ時間を要するであろう.
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