論述
先天性股関節脱臼の観血整復とコロンナ手術
赤坂 勁二郎
1
,
劔持 政男
1
,
奧島 平八郎
1
,
村田 光
1
Keijiro AKASAKA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.333-340
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908457
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先天性股関節脱臼(以下,先天股脱と略す)の治療体系は,von Rosenの超早期診断治療や,PavlikのRiemenbugelを始めとするいわゆるfunktionelle Behandlungの概念の導入により,Lorenz以来の源流とはおおいにその様相を異にしてきている.また公衆衛生の面からみても,一般の人々の本疾患に対する知識の向上と,保健所を中心とする乳児検診の普及は日覚ましく,跛行が明らかになつて始めて診療を乞うものの多かつた日々とはまさに隔世の感がある.このような流れの発展により,難治性先天股脱が何時の日かは過去の疾患になることを期待するものではあるが,現在の段階では手術的手段によらなければ求心性を回復しえなくなつた症例を見ることも決して稀ではない.
先天股脱の手術的療法の代表的なものであり,かつ予後成績を云々しうるだけの年月と症例を重ねきたつたものとしては,観血整復とコロンナの関節包性関節形成術(以下,コロンナ手術と略す)とがあるが,われわれは今回慶大整形外科における両術式の予後成績を対比検討する機会を得たので,その結果をのべ若干の考察を加える.
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