論述
新鮮外傷の応急療法について(第2部)—抗生物質局所応用の時間的要因
松元 輝夫
1
Teruo MATSUMOTO
1
1Walter Reed Army Medical Center実験外科
1Dept of Experimental Surgery Walter Reed Army Institute of Research Washington
pp.341-346
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908458
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広汎囲にわたる軟部組織の開放性外傷治療の原則が,迅速,適切に行なわれるdebridmentにあることは既述の通りである.特にdebridmentが外傷感染を著しく低下させる事実は現在までくり返し証明されたところで,一般にも認められているが,事実debridmentは必ずしも受傷後ただちに実施されるとは限らず,debridmentの遅延がよぎなくされる場合も存在する.受傷後debridmentの実施されていない外傷はしばしば感染を惹起する.現在のところ,これら外傷に対する応急処置としては縫帯の使用が行なわれているに過ぎない.
われわれはこれらdebridmentの遅延する外傷に対して,抗生剤の局所的使用が,外傷の感染率を低下するか否かを知るために各種実験を試み,オキシテトラサイクリンの局所散布が,大腿部に挫滅傷を加えた家兎の死亡率を著しく低下せしめることを報告した1,2).しかしながら上記実験において,抗生剤はいずれも受傷15分後に外傷面へ散布されている.
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