講座
先天性股関節脱臼
堤 直温
1,2
1国立東京第一病院整形外科
2日本肢体不自由児協会
pp.18-21
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200797
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
すべての病気は何でも早く発見して早く治療すればよく治るということは,これは一般の常識ですが,どうも一般の人の頭には先天性の病気は治らないという考えが今でも相当強くしみこんでいるようで,生れつきの病気というと,とかく治療がおくれ勝ちになるようであります.しかし生れつきの病気が治らないという考え方は大変時代おくれの考えで,これからお話ししようと思つている先天性股関節脱臼は早いうちに治療すれば完全に治る病気です.
しかし一方に於て肢体不自由兒調査では依然として相当たくさんな先天性股関節脱臼の患者が発見されております.戰爭前は殊にそうでしたが,戰後においても肢体不自由兒は先天性疾患によるものが第一位であり,しかもその中で先天性股関節脱臼が一番多い状態であります.早く治療すれば治る病気であるところの先天性股関脱臼が今日尚多数のものが治療もうけずにはつたらかしになつており,あたら一生を肢体不自由兒として過ごしているのであります
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.