シンポジウム 乳幼児先天股脱の手術療法
先天股脱観血整復の適応と問題点
山田 勝久
1,2
Katsuhisa YAMADA
1,2
1横浜市立大学医学部整形外科学数室
2横浜市南共済病院整形外科
pp.119-138
発行日 1973年2月25日
Published Date 1973/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904802
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先天股脱の治療は古くから行なわれているが,その歴史は苦難にみちたものであつた.盲目的かつ暴力的な整復により得られたものの結果はみじめであり,関節を開いて直視下に整復することを試みだしたのは当然の成り行きであろう.しかしAdams,Rosen,Poggi,Hoffa,Lorenzらにより行なわれた観血整復も感染や強直などの合併症が多く,整復したという自己満足的な結果のみに終つたようである.
Paci(1988),Lorenz(1895)が独自の徒手整復法を発表し,観血整復より非観血的整復が勝つていることを強調して以来非観血的療法がひろく行なわれるようになつた.さらにGalloway(1920,1926)はこれら非観血的整復は,あまり確実な方法でも,合理的でもないが安全かつ簡単で,ある程度の結果は得られると述べている.このように20世紀初期より後半世紀にわたり一世を風びしたかの感があつたLorenz法とてGallowayと同じような考えで他に良い方法がないのでやむを得ず行なつていたのではなかつたかと推察される.
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