シンポジウム 膝複合靱帯損傷に対する保存療法および観血的治療の選択
緒言
守屋 秀繁
1
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
pp.126-127
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100628
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膝複合靱帯損傷は膝関節においてただ単にいくつかの靱帯が切れているだけではなく,もちろん半月板や軟骨も損傷していることもあるが,それよりも軟部損傷を合併しており,損傷靱帯にだけ目が行き,性急にメスを入れると,結果として拘縮膝となってしまうことがしばしばある.動きの悪い膝はグラグラの膝よりはるかにADL障害は強い.これは複合靱帯損傷膝の治療にあたって常に念頭に置いておかねばならない点である.
そのような経験に基づき,現在では新鮮前十字靱帯単独損傷でも十分に可動域が回復してから再建術を行うようになっている.その結果前十字靱帯単独損傷に対する再建術の術後成績は,たとえどのような腱や靱帯を使用して再建しても,その術後成績はその術式に慣れた術者が慣れた術式を行えば,ほぼ一定の満足すべき結果を得ている.しかしながら,複合靱帯損傷では症例数も多くないことなどから治療法がまだ確立されているとは言い難い.
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