誌上シンポジウム 関節軟骨とヒアルロン酸
緒言
守屋 秀繁
1
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
pp.302
発行日 2007年4月25日
Published Date 2007/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101019
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変形性膝関節症に対し,ヒアルロン酸の関節内注射が臨床応用されてから約20年が経過した.現在では保存的治療法に欠かせない薬剤として,確固たる地位を築いている.われわれ整形外科医が注射薬として使用している間に,ヒアルロン酸は化粧品,食品に使用されるようにもなってきており,世間的な知名度も上がってきた.化粧品としては,高い保水能力によりお肌がすべすべになるという説明はわかりやすいように思うが,関節軟骨に対する作用となると,20年も付き合ってきているが,一体どういった作用を有する物質なのであるかという点についてはなかなか一言で説明できるものではない.当初はそのすぐれた粘弾性により関節運動を潤滑にする作用があると考えられていたが,次第に抗炎症作用のあること,内因性のヒアルロン酸の合成を高めること,などが明らかにされてきた.最近では軟骨のアポトーシスを抑制する効果のあることなどもわかってきている.
そこで今回はヒアルロン酸研究の現状を,本物質のもつ生物学的活性や特性に関して基礎的な研究に取り組む研究者に,各々の研究の成果を述べていただくこととした.そのため必然的に多面的な内容となり,まとまりのない感は否めないが,今回各研究者が示された結果はヒアルロン酸の多様な活性を示しており,読者のヒアルロン酸に対する理解を深めるものである.
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