Japanese
English
臨床経験
脊索腫との鑑別を要した巨大前仙骨髄膜瘤の1例
Anterior Sacral Meningocele Simulating Chordoma : A Case Report
井上 善也
1
,
斎藤 英彦
1
,
長野 純二
1
,
小林 良充
1
,
大井 宏之
1
,
高橋 勇二
1
,
善財 慶治
1
,
近藤 尚
1
Yoshiya Inoue
1
1聖隷浜松病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Seirei Hamamatsu General Hospital
キーワード:
Sacrum
,
仙骨
,
tumor
,
腫瘍
,
meningocele
,
髄膜瘤
Keyword:
Sacrum
,
仙骨
,
tumor
,
腫瘍
,
meningocele
,
髄膜瘤
pp.87-90
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908315
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抄録:きわめてまれな先天奇形である前仙骨髄膜瘤(ASM)の26歳男性例を1例経験した.当初は脊索腫を疑われて他医から紹介されたが,腹痛,便秘,頻尿,勃起不全を主訴とし,単純X線でscimiter sacrumと呼ばれる独特の仙骨欠損像が認められた.脊髄造影,MRIのいずれも診断に有用であった.嚢腫が巨大で茎が大きく,嚢腫壁が肥厚して周囲組織との癒着が強かったため,手術は,Stener法を逆の順にたどり,まず後方から下部仙骨椎弓切除,嚢腫茎の結紮切離を行い,次に前方から下腹部U字皮切で後腹膜腔に達し,嚢腫を膀胱・直腸から剥離,切除した.腹痛,便秘,頻尿は,術後すみやかに軽快したが,勃起不全は結局術前レベルまでにとどまった.ASMには腫瘍の合併率が低くないことなども考慮すれば,本例に限らずASMの多用な形態に対応しうる有用な術式と考えられた.
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