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シンポジウム 骨肉腫の診断と治療のトピックス
骨肉腫の増殖における癌抑制遺伝子変異の意義
Significance of Tumor Suppressor Gene Mutations in the Development of Osteosarcoma
戸口田 淳也
1
,
中山 富貴
2
,
鹿江 寛
2
,
琴浦 良彦
3
,
岡 正典
1
,
中村 孝志
2
,
佐々木 正夫
4
Junya Toguchida
1
1京都大学生体医療工学研究センター
2京都大学医学部整形外科
3市立長浜病院整形外科
4京都大学放射線生物研究センター
1Department of Artificial Locomotive System, Research Center for Biomedical Engineering, Kyoto Univerisity
pp.7-15
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908302
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抄録:骨肉腫における癌抑制遺伝子の意義を検討するために,41例の原発巣組織に対して変異解析を行い,その結果と肺転移および生命予後との関連性を検討した.網膜芽細胞腫遺伝子関連遺伝子群(Rb群)の変異は68.3%,p53遺伝子関連遺伝子群(p53群)の変異は63.4%に認められた.両群共に変異が存在するものが46.3%と最も多く,Rb群のみが22.0%,p53群のみが17.1%,そして両群共に変異を認めないものが14.6%であった.予後との関連性では肺転移率,生存率の両者で,Rb群に変異をもつものが有意に予後不良であった.一方,p53群の変異の有無は,肺転移率,生存率ともに影響を与えず,またRb群,p53群の両者に変異が存在するものと,Rb群のみに変異が存在するものの間には明らかな相違は認められなかった.以上の結果より,Rb群の変異が骨肉腫の臨床上の悪性度を決定する重要な因子であると考えられる.
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