特集 不安定頸椎—基礎と臨床—(第17回日本脊髄外科研究会より)
座長総括/「Ⅴ.後方法の術後(2)—脊柱管拡大術—」の部
黒川 高秀
1
Takahide Kurokawa
1
1東京大学医学部整形外科学教室
pp.355-356
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908069
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頸部の脊柱管拡大術(椎弓形成術)は小山・服部らの発表以後さまざまな変法が考案され,我国では椎弓切除術に代って後方除圧術の主流となりつつある.この部の10題は,扱う術式がそれぞれちがっていたが,全体としては脊柱管拡大術の術式の大部分を網羅した.
脊柱管拡大術は,椎弓切除術の術後にあらわれる脊椎の不安定性を克服することを主目的のひとつとして開発された術式であるから,この目的が達せられているかどうかは術式の存在理由にかかわる問題である.すでに大方の経験は,椎弓切除よりは術後の安定性が良好である点でほぼ一致している.それならば,どのような場合にこの術式の安定性保持力の限界が現われるか,隣接椎間への影響はどうか,どのような場合に脊柱管拡大術によって脊柱の安定化ができるかなどが今日の問題である.
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