Japanese
English
臨床経験
仙骨へ転移した卵巣未熟奇形腫の1例
A Case Report of Sacral Metastatic Immature Ovarian Teratoma
小野 浩史
1
,
増原 建二
1
,
岩崎 洋明
1
,
三井 宜夫
1
,
浅野 正文
1
Hiroshi Ono
1
1奈良県立医科大学整形外科学教室
1Department of Orthopedic Surgery, Nara Medical University
キーワード:
卵巣未熟奇形腫
,
immature ovarian teratoma
,
仙骨
,
sacrum
,
アルファブェトプロテイン
,
α-fetoprotein
,
レニン
,
renin
Keyword:
卵巣未熟奇形腫
,
immature ovarian teratoma
,
仙骨
,
sacrum
,
アルファブェトプロテイン
,
α-fetoprotein
,
レニン
,
renin
pp.309-312
発行日 1986年3月25日
Published Date 1986/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907374
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抄録:卵巣未熟奇形腫の仙骨転移例は稀である.我々はAFPとレニンが高値を示した卵巣未熟奇形腫の仙骨転移例を経験した.症例は24歳女性で卵巣dermoid cyst摘出後6ヵ月で腰痛にて発症,急速に進展し発症後6ヵ月でL5以下の完全麻痺を認めたため,手術にて仙骨を含めて腫瘍を全摘した.仙骨欠損部はHarrington法および骨セメントで固定した.病理組織学的検索にて卵巣dermoid cystと仙骨部摘出標本の両者に未熟三胚葉成分を認めたので,本症例を卵巣未熟奇形腫の仙骨転移と診断した.卵巣未熟奇形腫の転移巣では本症例の様に原発巣とほぼ同じ三胚葉成分と未熟組織の両者をもった組織像を示す場合もある.転移例の予後は転移巣の胎生組織の量により決まり,本症例の様に転移巣に未熟成分の多い例は予後不良である.AFPとレニンは本症例では明確な分泌組織は確認されなかったが,非典型的未熟組織より分泌されたと考えられる.
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