視座
臨床長期成績の重要性
長屋 郁郎
1
1国立名古屋病院整形外科
pp.855
発行日 1984年8月25日
Published Date 1984/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907011
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最近,整形外科分野の学会研究会における研究発表は数えきれない数となり,その情報の交通整理に追われている.しかし,この多数の報告の中に,どの位内容のある研究があるのだろうか? 特に目立つのは欧米に比べ計画性のある腰をすえた臨床的研究が少ない点にあると思っている.
医療は年々,生命の延長,社会環境の変化,医療技術の進歩による対象疾患の種類性質の変化とともに発展し,これとともに外科的治療の効果判定,手術適応,手術法の適否を決めるには長期成績の追及が必要となってきている.従来より,整形外科では成長,老化に直接関係する要因が多いことから長期的観点からの検討が行われており,先天股脱に代表される乳幼児の治療法の効果判定は思春期を越え成人まで20年以上の検討が一部で試みられていたが,追跡率が低く問題点も多かった.
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