症例検討会 骨・軟部腫瘍23例
症例13—右恥骨腫瘍 CTで特徴的な所見が得られた動脈瘤様骨嚢腫
葉 山泉
1
,
岩崎 宏
2
,
高岸 直人
1
,
松崎 昭夫
1
,
宮崎 直和
1
,
諫山 照刀
1
,
桜井 日出也
1
,
菊池 昌弘
2
1福岡大学整形外科
2福岡大学整形病理
pp.501-504
発行日 1981年5月25日
Published Date 1981/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906352
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患者:54歳,女性.
臨床経過:昭和48年5月誘因なく右鼠径部痛が出現,それ以来同部に強い痛みを生じるも放置.49年9月某病院外科にて右股関節炎の診断で投薬をうけた事がある.54年2月より疼痛は持続的となり,10月当科初診,右恥骨腫瘍の診断にて入院.全身所見に異常なく,局所所見は右鼠径部に骨性膨隆を認める.軽度の圧痛を有するが発赤・熱感などはなく,股関節の可動域も正常である.検査所見では血液・生化学・尿検査では異常はない.単純レ線で恥骨の殆んど全域に骨梁分画を伴つたスリガラス様の骨吸収陰影が認められ,骨皮質の非薄化,膨隆も著明である.5年前に比べかなり進行している(第13-1図).血管造影では閉鎖動脈が圧排され動脈相でpooling様のvascular stainを形成し,静脈相で病巣部内壁を濃染するtumor stainが認められる.CTでは恥骨体部から恥骨下枝にかけて骨皮質の膨隆がある.弓状部では骨皮質の欠損はあるが周囲軟部組織との境界は明瞭である.
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