視座
乳幼児先天股脱の治療に関連して
中川 正
1
1名古屋大学整形外科
pp.735
発行日 1980年8月25日
Published Date 1980/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906177
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年長児や高位脱臼例が対象であつた年代には,観血整復はむろんのこと手術を要する症例はきわめて多く,Colonna capsular arthroplastyや臼蓋形成術,Chiari osteotomyなどを中心に観血療法に数多くの創意,工夫が加えられ,成績の向上に努力された先賢の業績を忘れることはできない.いわゆるLorenz徒手整復法にも多くの工夫や改善が加えられてきたがペルテス病様骨頭核変形の発現など予後は良好とはいえず,やがて乳幼児が治療対象を占めるに及び,関節造影法の活用によつて軟部組織の介入が整復障碍の主体をなすとの考えに基づき,前方経路による観血整復法が積極的に行われ,さらにLudloffの内側経路による関節包切開術が広く用いられ,時代と共に観血整復法の考え方や内容にも著しい変遷がみられるのである.
1960年,鈴木良平教授によってRiemenbügel(R. B.と略す)法が紹介されるに及び,乳幼児先天股脱の治療体系や予後は大きく変貌するに至つた.第53回日本整形外科学会総会は,宮城成圭会長の卓越したご手腕によつて,綿密かつ充実した学術集会が盛会裡に開かれ,多大の成果を収められたが,鈴木良平教授司会のもとにシンポジウム「R. B.法不成功例の原因と対策」が行われ,R. B.法の全貌が討議された.
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