特集 脊椎腫瘍(第8回脊椎外科研究会より)
総括
転移性脊椎腫瘍の治療Aの部
井上 駿一
1
Shunichi INOUE
1
1千葉大学医学部整形外科学教室
pp.338-340
発行日 1980年3月25日
Published Date 1980/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906102
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筆者が座長を担当した転移性脊椎腫瘍の治療Aセクションには表のごとき10名の演者の方々により構成された.まず西嶋氏(山口大)は甲状腺癌の頸椎転移例に対し腫瘍摘出,前方固定手術を行い術後4年経過良好例を報告した.侵入路には特に不自由はなかつたが椎体後方は血管に富み完全切除は困難であつた由である.長嶋教授(埼玉大脳神経)は脊髄圧迫症状を有するものは緊急手術の対象である事,直腸癌C1,C2転移例に対する病巣切除,後頭顆よりC3,C4にわたるK-wireとセメントを用いた大胆な再建手術について述べられた.江川氏(東邦大)はホルモン治療について述べ乳癌脊椎転移例に対して閉経前,閉経後1年未満のものには卵巣剔出,一部に副腎摘出,閉経後5年以上を経た老には大量のエストロージエン療法,その中間の閉経後1年より5年までのものにはアンドロージエンまたは抗エストロージエン療法を行う.前立腺癌転移に対しては抗男性ホルモン療法と除睾術を行い一時期ながら全例効果が得られたと述べた.福間氏(国立がんセンター)も乳癌に対しほぼ同様の見解を追加した.
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