特集 脊椎腫瘍(第8回脊椎外科研究会より)
総括
転移性脊椎腫瘍の治療Bの部
小野村 敏信
1
Toshinobu ONOMURA
1
1大阪医科大学整形外科学教室
pp.341-343
発行日 1980年3月25日
Published Date 1980/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906103
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第8回整形外科研究会の最後のVII-Bの部では,前のセッションに引きついで転移性脊椎腫瘍の治療の問題がとりあげられた.ここには10題の演題が寄せられ,主として手術の適応と方法を中心に討議が行われたが各演者の間でほぼ共通した問題点がとりあげられていた.すなわち手術によつて何が期待できるかということが問題となり,脊髄の除圧迫,除痛効果,支持性の再獲得,日常生活動作の改善などに関する手術の効果が繰返して検討された.またこのような個々の症状に対する期待度とは別に,手術を行うことがはたしてその患者の延命効果とつながるものであるかどうかも基本的な問題の一つとして存在した.手術法に関しては前方法,後方法,この両者の合併法,脊椎固定術,骨セメントの価値などが討論されたが,手術手技そのものよりも,いろいろの手技を行いうるものとしてどのような例に手術の適応があるかという点が議論の中心であつた.
以下,簡単に各演者の発表と討論の要旨を紹介したい.本症では症例によつて原腫瘍の性質や転移の形が様々であるために一定の明確な方針を導きだすということは容易ではないが,現在試みられているいろいろの方法とその成績を通じて,いくつかの有益な示唆が得られるものと思う.
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