特集 脊椎外科(第1回脊椎外科研究会より)
上位頸椎疾患の手術経験
小山 正信
1
,
服部 奨
1
,
早川 宏
1
,
森脇 宣允
1
Masanobu OYAMA
1
1山口大学医学部整形外科学教室
pp.900-902
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908500
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上位頸椎障害例に対して手術療法を行う場合,進入路,手術術式に種々な方法があり,症例により適切な方法を実施すべきかと思うが,最近私共は上位頸椎の障害例で手術的治療を行なつたのは15例であるが,15例の内訳はX線所見で先天性奇形を認めるもの7例,その内5例は外傷の既往がなく,他の2例は外傷例である.非外傷例はいずれも脊髄症状を呈し,外傷例の2例の内1例は外傷直後より高度の運動,知覚障害を呈していた.歯突起骨折の5例はいずれも偽関節例で,その内3例は遅発性の脊髄症状例である.第2頸椎椎弓骨折の2例も陳旧例であり,リウマチ性環軸関節脱臼例は脊髄症状を呈していたので手術的治療を行なつた(第1表).
先天性奇形7例の奇形のX線上の病態は,①後頭環椎関節の形成不全により後方への亜脱臼の症例,②歯突起陥入にC2〜C3の癒合を伴い環軸関節の高度な亜脱臼を呈した例,③歯突起陥入に上位頸椎の著明な後彎変形を呈した症例,④上位頸椎部に先天性癒合を有し,脊椎管腔が狭く,隣接の椎間板部で後棘を認め,その部位でミエロでクモ膜下腔のブロックを認めた例などで,これらはいずれも高度の脊髄症状を呈していた.外傷例でX線所見で先天奇形を認めた2例はいずれも,環椎が後頭骨とassimilationを呈し大孔の狭小化を認め,更に第2頸稚と第3頸椎の癒合が合併し,環軸関節の高度の亜脱臼例である.
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