特集 腰部脊柱管狭窄の諸問題
腰部脊椎管狭窄に対する観血的療法の考え方について
河合 伸也
1
,
服部 奨
1
,
小山 正信
1
,
早川 宏
1
,
東 良輝
1
,
小田 裕胤
1
,
井之川 義典
1
,
瀬戸 信夫
1
Shinya KAWAI
1
1山口大学医学部整形外科学教室
pp.751-760
発行日 1976年8月25日
Published Date 1976/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905390
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腰部脊椎管狭窄は1954年Verbiestがdevelopmental narrowing of the lumbar vertabral canalについて報告して以来注目されてきた概念であるが,腰椎部において構築上の異常により椎管径が全体または部分的に狭窄をきたし,馬尾神経や腰仙部神経根に障害をもたらしている病態を指しているものと解釈される.脊椎管を構成する要素として,前方(椎間板・椎体・後縦靱帯),側方(椎弓根),後側方(関節突起・椎間関節),後方(椎弓・黄靱帯)があり,いずれの部位の病変にても脊椎管腔の狭窄を来たしうる.従来から変形性脊椎症,黄靱帯肥厚,脊椎辷り症などすでに管腔狭窄の概念は漠然としながらも存在しており,腰部脊椎管狭窄は独立疾患として扱うよりも個々の疾患の病態として把握することが妥当であると考える.ただdevelopmentalなものに関しては,頸椎部におけると同様腰椎部にも当然存在しうると考えられるが,頸椎部における脊髄症状と異なり腰椎部において管腔狭窄が単独に馬尾神経症状を発現させる頻度は少なく,症状発現に変形性脊椎症性変化の関与するものが多いであろうと推測する.
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