臨床経験
副神経損傷による僧帽筋麻痺について
梁瀬 義章
1
,
上羽 康夫
,
須藤 容章
,
上尾 豊二
,
山室 隆夫
Yoshiaki YANASE
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.1036-1041
発行日 1978年11月25日
Published Date 1978/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905805
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はじめに
肩甲帯部の運動障害を主訴として整形外科外来を受診する患者の多くは,頸椎骨軟骨症,肩関節周囲炎,腕神経叢損傷,筋原性疾患などがその原因となつている.また,肩関節運動障害や翼状肩甲を主訴とする患者の中には副神経麻痺に起因するものがある.副神経麻痺の原因には種々のものがあるが,側頸部や後頭三角部の手術侵襲がその原因であることが多い6,12,20,21,23,24).耳鼻咽喉科領域などでの頸部悪性腫瘍に対する頸部廓清術時には副神経機能の温存が困難な場合もある.しかし,いまだに単なるリンパ節の生検や頸部良性腫瘍摘出に際して副神経損傷がしばしば起つていることは,外科整形外科領域での副神経の機能に対する認識が低いことを意味していると思われる.われわれは最近5年間に副神経損傷による肩関節運動障害の患者6例を経験したので若干の考察を加えて報告する.
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