臨床経験
習慣性足関節亜脱臼に対するElmslie法の変法(Chrisman & Snook)の手術経験
三谷 晋一
1
,
白野 明
1
,
楠本 剛夫
2
,
福沢 玄英
3
Shinichi MITANI
1
1健保総合川崎中央病院整形外科
2東京女子医大整形外科
3田浦共済病院整形外科
pp.1028-1035
発行日 1978年11月25日
Published Date 1978/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905804
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はじめに
足関節捻挫をくり返し,しかも不安定感を伴い,足関節の底屈と内反強制位で,X線上明らかに外側関節裂隙が増大する症例は,足関節の習慣性亜脱臼もしくは,習慣性脱臼と称され,その治療に関しての報告が散見される.これは主に,足関節外側靱帯(第1図)の損傷が原因とされ,その治療法としては主に手術療法が求められている.現在まで,広く行なわれている術式として,短腓骨筋腱を利用するWatson Jones法のほか,各種の再建術が考案されている(第2図).
Chrisman & Snookは1968年に,足関節外側靱帯損傷の再建法として,Elmslie法が,大腿広筋膜を使用しているのに対して,短腓骨筋腱の前半部を筋腱移行部から停止部近くまで切離し,停止部とは連続を保つたまま遊離したのち,その走行を変え,前距腓靱帯および,踵腓靱帯の解剖学的走行に一致させて修復する方法を行ない(第3図),良好な成績を得たと報告している.我々も,この方法が解剖学的にも,機能的にも,従来行なわれている他の方法にくらべ,より合目的であると考え,5年前より,本法の追試を行なつて来た.現在のところ,比較的満足すべき結果を得ているので,我々の経験に基づいて,その術式および,術後成績を述べるとともに,若干の文献的考察を加えたい.
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