特集 筋再生と理学療法
末梢神経損傷による麻痺筋の萎縮予防と筋力増強
友利 幸之介
1
,
中野 治郎
2
,
沖田 実
2
Okita Minoru
2
1神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科作業療法学専攻
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻理学・作業療法学講座
pp.599-606
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101446
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はじめに
末梢神経が損傷を受けると,その支配域にある骨格筋は完全あるいは部分的な除神経状態となり,様々な退行性変化が生じる.この退行性変化の1つとして,臨床場面でもしばしば観察されるのが筋萎縮であり,末梢神経損傷に対する理学療法の第一の目的は,除神経によって生じる筋萎縮をできる限り予防することにあるとされている.しかし,除神経筋にみられる退行性変化は筋萎縮以外にも様々な病態がある1~11).つまり,末梢神経損傷後にみられる筋力低下は,除神経筋の退行性変化に関わる様々な病態が複雑に絡み合った結果として生じたものであり,理学療法による筋力増強効果を引き出すためには,これらの病態の理解が不可欠である.さらに,筋力増強効果には損傷した末梢神経そのものの回復が大きく影響することは周知の事実であるが,理学療法が損傷した末梢神経の再生にどのような影響を及ぼすのかはあまり知られていない.
そこで,本稿ではまず除神経筋の退行性変化の病態をいくつか紹介し,次いで,除神経筋ならびに損傷神経そのものに対する治療効果をレビューし,末梢神経損傷における筋力増強のあり方について考えていく.
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