臨床経験
Holt-Oram症候群の2例
梁瀬 義章
1
,
上羽 康夫
1
,
須藤 容章
1
,
東 正一郎
1
Yoshiaki YANASE
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.576-580
発行日 1978年6月25日
Published Date 1978/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905727
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はじめに
先天性心疾患に心臓以外の部位の奇形を伴つた症例については数多くの報告がなされている.中でも骨筋肉系や中枢神経系の奇形が多い.しかし上肢の奇形を取り扱う整形外科領域においては,先天性心疾患の合併についてあまり論じられていない.上肢奇形に先天性心疾患を伴うものとしては染色体異常に起因するもの,ムコ多糖類異常症,遺伝的素因をもつ症候群などが知られている.
1960年HoltとOram9)により上肢とくに母指や橈骨の形成不全と心房中隔欠損,不整脈を合併した常染色体優性遺伝と思われる一家系四世代が報告されて以後,小児科,循環器科領域において同様の症例の報告がみられる.われわれは最近5年間に29例の母指または橈骨の形成不全症例を経験しているが,そのうち2例に先天性心疾患を伴つたHolt-Oram症候群の散発例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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